ドルフィン・ホエール事業、年間通した展開目指す

マッコウクジラ=7月の調査で確認(興克樹さん撮影)

ミナミハンドウイルカの群れ=同(興克樹さん撮影)

海洋生物研
マッコウクジラ・ミナミハンドウイルカなど

奄美海洋生物研究会(興克樹会長)は冬季が主流のホエールウォッチング事業を拡大する調査・計画を進めている。6月中旬から始めた同調査は、奄美群島広域事務組合が企画する民間チャレンジ支援事業費を活用。12月までに計16回の調査を予定している(マッコウクジラ8回、ミナミハンドウイルカ8回)。

現在ホエールウォッチングのツアーで観察できるクジラは主にザトウクジラ。2013年に発足した「奄美クジラ・イルカ協会(興会長)」の調査で観光事業として本格化した。同会の調査では、出現頭数が20年度971頭、参加者は同計3684人と、共に過去最多を記録した。また、ホエールウォッチング参加者に実施したアンケート調査によると、330人のうち「満足(212人)」、「まあ満足(59人)」と回答した人が8割を超えており、リピーターも多い。

今回の計画・調査では主に奄美大島の沖合、沿岸で船上と海中の調査を行い、マッコウクジラ3頭、マダライルカ1群50頭、ミナミハンドウイルカ1群15頭を確認した(6月中旬から8月上旬)。

マッコウクジラは奄美大島北西の沖合で集中して見られ、大型のイカを捕食していることが分かった。ミナミハンドウイルカは通年を通して沿岸地域に生息し、波の穏やかな大島海峡で発見率が高いという。同会はダイビングと組み合わせたドルフィンスイムの実施を期待している。

興会長は「今後は調査と同時に参加者の事故の防止や、クジラやイルカの進路を妨げない工夫など、安全面のルール作りを行っていく。延期されている世界自然遺産登録後や新型コロナウイルス終息後、ブームに左右されない持続的な事業の展開をしていきたい」と語った。