戦跡めぐり「戦争と平和」思い

奄美大島要塞地帯標を見学する参加者

「二度と起きてほしくない」
終戦の日に 古仁屋小・家庭教育学級

 瀬戸内町の古仁屋小学校家庭教育学級(藤井亜衣子学級長)は「終戦の日」の15日、町内の戦跡をめぐる家庭教育学習を行った。同校の親子や、古仁屋高校生のボランティアを含め31人が参加。古仁屋市街地の戦跡や、歴史を示す石碑などを見学し、DVDを鑑賞。参加者は身近な場所にある戦跡にふれ、戦争と平和について思いをめぐらせた。

 講師は町教育委員会社会教育課埋蔵文化財担当の鼎丈太郎主査が務めた。古仁屋市街地でのフィールドワークでは、▽奉安殿(古仁屋小学校内)▽奄美大島要塞地帯標(古仁屋高校正面入り口付近)▽要塞外塀の弾痕(町立高丘保育園裏)などを順番に回った。

 鼎主査は、奉安殿は天皇・皇后の「御真影(肖像写真)」と「教育勅語(標本)」を保管するための場所であることを解説。現在奄美群島に12カ所残されており、うち6カ所は瀬戸内町内に存在する。

 もともと主にハブよけのために作られたという要塞の外壁には、直径10~20㌢ほどの弾痕が残っており、生々しい戦跡に参加者は驚きの声をあげた。

 約2時間のフィールドワーク後は、同交流館で町内の戦跡についてのDVDを鑑賞。町内には200カ所以上の戦跡が残っているという。

 その後の質問タイムでは、小学生から鼎主査に、戦争についての質問が投げかけられた。「なぜ戦争が起きたのか」「何のために戦跡を残すのか」など。鼎主査は「とても“本質的な問い”」と言い、戦跡を残す理由としては「戦争を経験している人が高齢化していて、直接語り継ぐ人が少なくなっている。5年後、10年後に代わりに伝えてくれるもの」と答えた。また「自分で歴史を調べたり、家族や友達と話してみることでわかることがあるので、ぜひやってみて」と呼び掛けた。

 正午にはサイレンと共に黙とうをし、閉会した。

 古仁屋小学校の山倉慶土=けいと=さん(4年)は「いつも見ていた奉安殿の意味を知ることができた。二度と同じことが起きてほしくないと思った」との感想。

 古仁屋高校からボランティアとして参加した静岡いずみさん(3年)は「古仁屋にこんなにたくさんの戦跡があることに驚いた。これから戦争について学んだことを後輩や小中学生に伝えていきたい」と話していた。