贅沢なキャンプ グランピングリゾートを模索

ユニットに差し込み接続するだけ。短時間で組み上がったグランピング用の骨格=12日夕、天城町三京

徳之島産コーヒーチェリー

有志ら推進会議徳之島コーヒー国際連携案も

 【徳之島】「村落間の国際連携による徳之島のコーヒーブランド化とグランピングリゾート推進会議」と銘打った民間主導の集いが12日夕、天城町三京集落であった。世界で最も高価な「ルアコーヒー」産地でおなじみのインドネシア・バリ島の村と国際連携した徳之島コーヒーのブランド化。さらには、間伐材や廃材など加工材で簡単に構築しての〝贅沢なキャンプ〟と称される「グランピングリゾート」地のモデル作り、島内普及の可能もセットで探った。

 提案発起人は、小原幸三さん(鹿児島大学名誉教授、伊仙町移住)、三京集落区長の豊村祐一さん、コーヒー生産者の宮出博史さん(伊仙町在住)ら3人。環境省が2020年度の国立公園等資源整備事業で、国立公園の利用拠点の滞在環境の良質化、地場産品の提供促進等地域の観光活性化を目指していることにも着目。推進会議は豊村区長宅であり観光や地場産材加工業、住民、行政関係者など約25人が自由参加した。 

 徳之島コーヒーの国際連携の必要性について小原さんは「自家消費レベルの生産量の壁をクリアするため、世界的コーヒー産地のバリ島と連携することが必要」。5つの世界自然遺産を誇る世界的観光地のバリ島。ジャコウネコ科の動物でコーヒーの実を好んで食べるルアが排出(発酵)し生まれる「ルアコーヒー」。徳之島ではアマミノクロウサギとの関連付け、サトウキビの搾りかすなどを活用した発酵応用による希少ブランド創出の可能性も強調する。

 講話の後、バリ島(バリ州タバナン県ププアン郡プジュアン村)とインターネットでオンライン交流も。バリ島側は双方の経済力の向上、世界自然遺産候補の島の自然環境の保全、地域の生活環境の保全―のため「プジュアン産コーヒーとの国際連携商品への活用を」と了承した。

 一方「グランピング」とは「グラマラス」(豪華)と「キャンピング」を合わせた造語。〝贅沢にキャンプを楽しむ〟アウトライフ・スタイルとして再び世界的に関心が高まっている。豪華リゾートホテル追求のみではなく、さまざまな自然環境のふところに溶け込み、気軽に楽しむための新しいリゾート・スタイルだ。

 講話・懇親会に先駆けて、本土産の杉間伐などで三角形組み合わせた「八面体グランピングモデル」の組み上げを実演も。小原さんは「バリ島と三京の自然環境は似ている。しかし観光客ができる宿泊施設がない。世界自然遺産候補地の優れた環境を生かしたグランピングリゾートを目指すべき。利用者と住民の情報共有の場にもなる」。宿泊モデルは「高倉を2つ合わせた形」で、子どもでも短時間で組み立てが可能という。本土産材は輸送費が掛かるため「島内の空き家など廃材が理想的」とも。

 三京集落の豊村区長(65)は「ホテルが無くても、大自然の中や庭先にも簡単に設置ができてキャンプが可能になる。三京に拠点的なグランピングのリゾートモデルができて、島内全体にこのスタイルが広がって欲しい」と期待を寄せた。