「ツルヒヨドリ」駆除

ツルヒヨドリの駆除作業を行う同事務所職員、「瀬戸内町海を守る会」会員ら

ツルヒヨドリの葉。葉が対生に伸び、ハート形が特徴的

特定外来生物、瀬戸内町で 環境省、民間団体、町合同で
猛烈な勢いで繁殖 「花が咲き、種飛ぶ前に」

 瀬戸内町で13日、在来生態系だけでなく、農作物にも被害を及ぼすとされている特定外来生物・ツルヒヨドリの駆除作業があった。環境省奄美自然環境事務所奄美群島国立公園管理事務所と民間団体「瀬戸内町海を守る会」(祝隆之会長)が実施。町職員も参加し、他の植物に絡まりながら猛烈な勢いで繁殖するツルヒヨドリの駆除作業にあたった。

 環境省、民間団体、町が合同の外来種駆除作業は町内初という。この日は計24人で約6時間の作業を行い、主な繁殖場所3カ所で90㍑のごみ袋48袋を回収した。

 同事務所は2016年からツルヒヨドリの分布調査に着手。奄美市笠利町の須野ダム周辺や、同市名瀬根瀬部~大和村国直間、同村今里~宇検村宇検の県道沿いで繁殖が確認されていた。

 環境省によると、ツルヒヨドリは驚異的な繁殖力を持ち、一日に約10㌢もツルを伸ばしながら葉を広げていく。英語で「1分で1マイル広がる雑草」との異名を持ち、世界の侵略的外来種ワースト100にも名を連ねる。

 葉の長さは4㌢~13㌢、幅5~10㌢、表面は少し光沢があり、毛は生えていない。形は基本的にはハート形で、縁がギザギザとしている。11月から12月にかけて白い花が集まって咲く集合花を付け、1月には綿毛の付いた軽い種を多量に飛ばす。

 同事務所の離島希少種保全専門官・後藤雅文さんは「花が咲く前に駆除することが望ましい。繁殖力が強靭なため、拡散しないよう規定に沿った駆除が必要。もし繁殖を見かけたら環境省か各市町村へ連絡を」と呼び掛けた。

 同会の事務局長・栗原亮太さんは「初めての外来種駆除作業。こんなに身近な場所にあることに驚いた。今後も町や自然保護のためにできることをしていきたい」と語った。

 作業は14日も引き続き行われ、町内の別の繁殖場所3カ所を行う予定。ツルヒヨドリは、ツルが地面に触れている箇所から根を広げるため、回収したものは拡散しないよう処分を行う。

 ツルヒヨドリなどの外来種の繁殖を見かけた際は各市町村の世界自然遺産登録対策窓口、または環境省奄美自然環境事務所奄美群島国立公園管理事務所TEL0997・55・8620まで。