「奄美にしかない自然未来に残そう」

「奄美にしかない自然未来に残そう」

早瀬講師(中央)の話を熱心に聞く参加者たち

環境省国立公園管理官早瀬さん講演
登録に向けた動きや課題説明

 奄美市生涯学習講座「世界自然遺産&戦時中の奄美を学ぶ」第6回講座が24日、名瀬公民館会議室(紬会館)で開かれ、環境省奄美群島国立公園管理事務所国立公園管理官の早瀬穂奈実さんが講演した。30人が参加。テーマは「世界自然遺産を目指して取り組めること」。早瀬さんは奄美が世界自然遺産候補地になった理由、登録に向けた動きや課題などを説明しながら「世界中で奄美にしかない自然を未来に残せるよう皆さんと一緒にがんばっていきたい」と語った。

 早瀬さんはまず、奄美大島は日本全体の0・19%の面積しかないのにたくさんの生物が生息しており、生物多様性の環境を有していることを説明。特に固有種と希少種が多く、それは琉球列島の成り立ちの歴史や気候、降雨量の多さなどが関係していると語った。

 次に、奄美群島国定公園が日本を代表する傑出した自然環境と認められて2017年に国立公園に格上げされ、エリアを分けて自然保護と利用促進のバランスをとっていることを説明した。

 そして、奄美大島、徳之島、沖縄島北部(やんばる)、西表島の生物多様性が世界自然遺産に値すると評価され、登録に向けて体制を整えている最中であると述べた。

 奄美の自然環境を取り巻く課題は、▽重要な地域の保護▽希少動植物の保護対策▽生態系に悪影響を及ぼす外来生物対策▽持続可能で良質な利用体験の提供▽地域の理解と協力▽関係機関の連携ーなど。特に、アマミノクロウサギの交通事故が増加していること、密猟・密輸出対策としてパトロールをしていること、マングースやノネコ、外来植物などの外来生物対策が欠かせないことなどを述べ、住民の協力を求めた。

 また、観光客が増えるにつれて問題も増加しているため、金作原原生林や湯湾岳登山道、ナイトツアーなどでのルールづくりも進めている。

 参加者からはノネコ問題、生物多様性について、トンボや水生昆虫の激減などさまざまな意見や質問が出された。

 早瀬さんは「世界中で奄美にしかない自然がたくさんある。世界自然遺産に登録するということは、奄美の自然が世界の宝になるということ。未来まで残せるよう皆さんと一緒にがんばっていきたい」と語った。