りゅうがく館前に追加展示された「碇石」(左側)と「白糖石」
龍郷集落小浜地区の龍家本家跡近くの土中に埋まっていた「碇石」=10月23日撮影
龍郷町教育委員会によると、今年、龍郷集落小浜地区の西郷隆盛(変名・菊池源吾)の第2潜居地(龍家本家跡)近くの土中から昔、船の碇の一部として使われた「碇石」が発見された。10月27日に重機を使って掘り出し、水で洗い、きれいにした後、町生涯学習センターりゅうがく館玄関前に展示した。また、瀬留住民から寄贈された「白糖石」(白糖工場の基礎に使われた凝灰岩切り石)も隣に展示した。
町教委によると、今回発見された「碇石」は、龍家本家跡の門がある近くの土中から見つかった。雨風で表面の土が流されたらしく、「碇石」が出てきた。全長は約220㌢、最大幅は27㌢、表面がくぼんだ所がある。重量は分からない。
りゅうがく館玄関前には、1943(昭和18)年ごろに龍郷集落の碇浜から引き上げられ、その後、町教委に寄贈された「碇石」(全長207㌢、最大幅43㌢×厚さ35㌢、材質は凝灰質砂岩)が先に展示されており、説明板が設置されている。重量は「大人2~3人でやっと動かす程度」と記している。
今回発見された「碇石」と寄贈された「白糖石」は、その隣に展示された。
「碇石」説明板には、「碇とは、船を停泊させるときに使用する鎖やロープを付けて海底に沈めて使う道具のこと。昔の碇は、木と石を組み合わせた『木石碇』というものを海中に沈めていた。本展示の『碇石』もかつては木の部分があったのではないかと思われるが、長い年月を経て今では石の部分のみとなっている」との内容が記されている。
また、説明板には「これまで奄美大島では9点の『碇石』が確認されており、このうち3点が龍郷町内で発見されたもの」と記す。りゅうがく館前展示以外の2点の所在地は▽奄美市住用町の奄美アイランド(原野農芸博物館)に展示。出土地は龍郷碇浜。昭和55年ごろ引き揚げられた。全長300㌢▽名瀬の民家が所有。出土地は龍郷町周辺の海底。所有者の実家(龍郷町秋名)にあったものをもらい受け名瀬に移した。全長326㌢―などと記されている。
今回発見された「碇石」は、町内での発見の4点目となる。
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龍郷町誌(民俗編)には、「オランダ船の錨」の項目で、龍郷集落の碇浜から引き揚げられたとされる「碇石」に関する記載がある。
また、町誌には「白糖工場跡」の項目の記載もある。