字図混乱の解消困難、断念方針

字図混乱でバイパス整備の当初計画を断念することになった国道58号の城集落周辺

国道58号和瀬バイパス 現道拡幅など新たなルート選考へ
地元住民らの意見集約
市議会一般質問

 奄美市議会12月定例会は11日、一般質問を続開、伊東隆吉(自民)、橋口耕太郎(公明)、﨑田信正(共産)、安田壮平(チャレンジ奄美)の4議員が登壇した。同市住用町城集落を通る国道58号和瀬バイパスの整備が、同集落の字図混乱によって長年未着工となっている問題で、「字図混乱の解消が極めて厳しい状況である」(市住用総合支所)ことが確認された。市は、現状について既に地元住民らに報告しており、今後は混乱地域を避けた新たなルート選考などについて、事業主体となる県などと協議していく考えを示した。

 和瀬バイパスについては、伊東議員が質問。城トンネル南側に位置する城集落の背後地に計画されていたバイパス0・92㌔について、道路を通す用地の取得に必要な公図と現地の形状が一致しない字図混乱地域のため、整備の目途が立たず事業を断念。未整備の状態が20年近く続いている。

 市住用総合支所によると、9月に地元国会議員や県議会議員、国や県の関係部署などによる意見交換が行われ、字図混乱解消が困難な状況にあることを確認。意見交換では、現道の危険性除去を検討するのが現実的などの指摘もあったという。

 市は現在、地元の意見集約のため、現道の拡幅や海側を通る新たなルートの選定などについて地元住民の意見集約を進めており、当初のバイパス計画を断念、現道の拡幅や新たなルート選定などを検討していく方針を示した。

 また、国道58号おがみやまトンネルの事業着手時期について、市は県の報告として、「現在進めている用地買収の状況を見極めながら工事着手時期を検討していきたい」などとした。

 同市名瀬の名瀬港(本港区)埋立地(マリンタウン地区)の再分譲について、今後実施予定の2次公募時に、従来の商業用地に加え、住宅用地についても公募を開始する方針が示された。公募時期や応募内容については、来年1月に予定している土地処分検討委員会で協議する。

 橋口議員は市の移住・定住支援策について質問。今年度、定住促進住宅や空き家バンク制度など市の支援策を利用した移住者が15世帯35人に上ることが報告された。

 﨑田議員は住用町戸玉集落の住民が集落近くの民間業者による採石事業に反対している問題について質問。市は、集落側から業者側への質問状が出されていることを報告。業者の回答を待ち、両者の意思疎通を図っていく考えを示した。

 安田議員は、子ども医療費助成事業の高校生への拡充について質問。市は、来年3月から県が住民非課税世帯を対象に医療費の50%を負担する方針であることなどに触れ、「助成には市単独の予算など財源確保が必要。財政状況を見極め検討したい」とした。