子どもの心と命を守る子育て論に来場者が耳を傾けた(奄美市役所会議室)
「押し付けず、寄り添う」
保護者目線での考え問題視
子どもの心に寄り添うための講演会が13日、奄美市役所会議室であった。自殺予防教育などに取り組んできた中央大学人文科学研究所の客員研究員、髙橋聡美さんが来島し、子どもの心と命を守る子育て論を繰り広げた。
鹿屋市出身の髙橋さんは、子育てをしながら東北大学大学院を修了。その後、防衛医科大学校(精神看護学)教授などを歴任。現在は家族と住む宮城県仙台市を拠点に、各地で子どもの自殺予防教育の講演や活動に取り組んでいる。
この日は同市主催で「子どものSOSの受け止め方講演会」を開催。子育て中の保護者や医療、教育機関など約40人が来場した。
髙橋さんは「気持ちが伝わる言葉の力」をテーマに子どもの自己肯定感を高められる子育てのポイントについてアドバイス。参加者は真剣な表情で聞き入った。
テストの点数が良くなかったケースで、▽勉強が足りない(評価)▽毎日勉強しなさい(指示)▽塾代が無駄になっている(脅す)―など子どもをコントロールしようとする保護者目線での考えを問題視。子どもとの関係性に溝をつくるものと指摘した。
特に小学生の自殺理由で家族からのしつけや叱責の割合は高いとして、髙橋さんは親が感情を抑え、寛大になる姿勢を提言。「まずは言葉をオウム返しして、詳しく聞くなど寄り添うこと。叱る前に一緒に共有する気持ちを大事にしてほしい」と結んだ。
会では2019年実施した市内の中高生アンケートで、身の回りに悩みを話せないと感じている割合が1割程度。特に思春期に悩みを抱えている現状を報告。徳永明子・市健康増進課長は「子どもとの接し方など学んだことを生かしてもらえたら」と語った。