県議会一般質問

クラスター医療、福祉施設で半分
生活困窮相談受付件数 前年度の3倍以上に

 県議会3月定例議会は3日から一般質問に入った。同日は東清剛議員=無所属、日置市区=、平良行雄議員=共産党、鹿児島市・鹿児島郡区=、中村正人議員=自民党、霧島市・姶良郡区=、桑鶴勉議員=自民党、鹿児島市・鹿児島郡区=が登壇。新型コロナウイルス感染症のクラスター(感染者集団)は県内ではこれまでに26件発生しているが、このうち医療機関(5カ所)、高齢者等福祉施設(7カ所)の両施設で約半分を占めていることが報告された。高齢者施設などでの対策として2021年度当初予算案では新規に、患者等発生に対応する図上訓練に必要な経費が計上されている。

 地頭所恵・くらし保健福祉部長が答弁。医療機関や福祉施設でクラスターが発生した場合、鹿児島大学病院の医師など感染対応の専門家が派遣され、早急に疫学調査やゾーニングなどの感染拡大防止策を講じるよう現場で指導が行われている。地頭所部長は「2月末で延べ187人の専門家を派遣している」と述べた。

 さらに必要に応じ国のクラスター対策班に派遣を要請、現場での助言や技術的支援が行われている。合わせてクラスターが発生した施設の要請に基づき看護や介護業務の応援、施設職員のメンタルケアを行うための看護・介護職員が派遣されており、2月末までに延べ125人が派遣されている。

 医療機関では院内感染の発生を想定したシミュレーションや研修会を実施するなど日頃から感染防止取り組みが進められている。高齢者福祉施設での取り組みでは新年度、高齢者施設等新型感染症患者等発生対応図上訓練事業(163万3千円)が計画されている。地頭所部長は「高齢者施設において感染者等が発生した場合を想定し、関係者の役割行動の確認および対応活動上の課題の把握等を目的としている」と説明した。

 生活困窮者対策では県内33の自立相談支援センター(市町村社会福祉協議会など)に相談窓口を設置し、生活保護に至る前の段階からの早期かつ包括的な支援が行われている。今年度の相談状況について地頭所部長は「新型コロナの影響により12月末時点で比較すると、前年度の3倍以上の約6700件の相談受付件数となっている」と報告。相談窓口では専門の相談員が生活困窮者からの多様な相談を通じ自立支援計画の作成や就労支援、今回、特例措置が講じられている緊急小口資金等の受付あっせんや総合支援資金借り受け者への自立支援などが行われているとした。

 消防団員の確保に関する質問もあった。橋口秀仁危機管理防災局長の答弁によると、県内の消防団員数は20年4月現在で1万5121人、5年前に比べ354人減少している。一方、女性消防団員612人、学生消防団員116人となり、いずれも増加傾向にあるという。

 橋口局長は「地域防災の中核的役割を担う消防団が将来にわたり継続して活動するためには特に若い人材の確保が重要であることから、県では16年度から国の事業を活用して若者や女性の加入促進を目的にシンポジウムやセミナーを実施しており、今年度は消防団の活動内容や魅力について紹介するPR動画を作成し、県ホームページやウエブサイト、テレビコマーシャルなどを通じて広く県民に情報発信をしている」と述べた。