環境省は、住民・観光関係者・自然保護関係者・行政で構成する「奄美大島三太郎線周辺における夜間利用適正化連絡会議」を設置し、22日に第1回目の会議を奄美市名瀬のAiAiひろばで開いた。自然保護と利用の両立を目指し、持続可能な利用ルールを検討することが目的。これまでの検討結果を共有後、ゴールデンウイーク期間中に行う第2回実証実験のルール案について議論を交わし、合意された。第2回実証実験は4月29日から5月9日までの11日間、3月25日午前9時30分から事前予約開始。これを受け、6月末までに第2回同会議を開いて試行ルールの合意を図り、7月以降に運用開始を目指す。
三太郎線は同市住用町の東仲間、西仲間集落を結ぶ道路で、近年はアマミノクロウサギなど希少な野生生物を観察できるナイトツアースポットとして人気。利用者増加に伴い、希少動物の交通事故や利用者同士のトラブルが増加しており、利用ルールづくりが検討されている。公道での夜間の野生動物観察に特化した利用ルールの策定は、国内初の試み。
会議には関係者約45人が参加。同省は第1回ナイトツアー実証実験での課題や意見、改善案について報告。それを踏まえ、ゴールデンウイーク期間中に行う第2回実証実験のルール案や運用について、あらかじめ関係者から集約した意見をもとに議論を交わした。
第1回実証実験は昨年11月19~23日の5日間、午後6時~同11時までの間に三太郎線でアマミノクロウサギなどの野生生物の観察を行うツアーガイドや観光客、住民などすべての利用者を対象に実施。メールや電話、ファックスで事前に予約した車両について、東仲間からの一方通行、15分間隔で通行を許可。1日の利用台数を20台に制限し、接続する市道スタル俣線などは通行止めにした。また、夜間の野生動物観察のルールを設定した。
会場からは、スタル俣線の夜間利用、将来的に電気自動車での観察、ツアーの質の高め方など、さまざまな意見や要望が出た。
第2回実証実験は以下のルールで行う。①三太郎線の利用については、事前にWEB上の予約システムで各自予約を行う。住用三太郎の里及び奄美野生生物保護センターでも予約可②三太郎線の走行方向は両方向とするが、入れるのは30分間隔で各方向1台ずつ。1時間あたりの利用台数を4台までとし、午後7時から翌朝6時まで適用③スタル俣線は夜間通行止め。石原栄間線は翌日までに通行の報告を求める。④夜間の野生動物観察ルールとして▽時速10㌔以下で走行▽前の車に追いついたら待機。前の車両が左ウインカーを出したら追い越す▽生きものを探すライトは車につき1本―など。⑤夜間野生動物観察に不慣れな人はガイドの同行(有料)を推奨する。
ルールの詳細は事前予約時に周知を図る。三太郎線の2か所の入り口に人は立てず、自動撮影カメラを新設して検証していく。WEBサイトにはQRコードからアクセスでき、同省沖縄奄美自然環境事務所のHPからも入れる。
早瀬穂奈実国立公園管理官は「今年の夏に世界自然遺産登録が決まれば世界中から注目される。自然が壊れない体制をつくっていきたい」と語った。