市民交流センター多目的ホールの緞帳デザインに決まった田中一村の「奄美の海に蘇鐵とアダン」
奄美市が同市名瀬柳町に整備中の市民交流センター多目的ホールに設置する緞帳(どんちょう)について、市教委は25日、奄美の自然などを描いた画家・田中一村の作品「奄美の海に蘇鐵(そてつ)とアダン」を図柄として採用したことを明らかにした。既に制作に取り掛かっており、6月ごろに完成予定という。同市の施設の緞帳に一村作品が使用されるのは初めて。
緞帳は幅12㍍、高さ7・9㍍。西陣織で職人による手織りで、京都市の美術織物業者で制作中。総重量約480㌔になる見込み。制作費は図柄の監修費や輸送費などを含め約1700万円。
市教委は昨年6月、原画選定委員会(森山利男委員長、6人)を設置、一村の作品を図柄に採用することを決定。横長の構図などが緞帳のサイズにあっていることなどから、「奄美の海に蘇鐵とアダン」に決めた。その後、著作権に関する協議やデザインに関する監修などを経て、今年2月から制作が開始された。
同作品は1961年に制作されたもので、ソテツとアダンの樹間の向こうに立神を配す構図となっており、緞帳のデザイン監修も手掛けた日本画家・大矢鞆音氏は「一村が奄美の豊かな自然に魅了され『素晴らしい楽園である』と千葉の支援者に描き贈った」と作品を説明している。
緞帳を設置する市民交流センターは、名瀬公民館の代替施設として、旧名瀬保健所跡地(約3100平方㍍)に建設中で、鉄筋コンクリート3階建て(延べ床面積3062平方㍍)。1、2階には客席350席(2階席100席)の多目的ホールなどを整備、3階は多目的室や工芸室など生涯学習施設を整備する。今年10月の供用開始を目指し、現在建設工事が進められている。