奄美市と龍郷町で始まった65歳以上の高齢者を対象とした新型コロナウイルスワクチンの集団接種で、在宅の要介護者らの多くが、予約方法などが分からず接種できないでいることから、奄美大島介護事業所協議会(盛谷一郎会長)と県介護支援専門員協議会奄美大島・喜界島支部(中里浩然支部長)は、両市町と協議し、介護支援専門員(ケアマネジャー)が、担当する複数の要介護者の予約を代行できるようにするなど改善した。また、接種時に混乱しないよう予診票の記入などもサポートする。
両市町の集団接種では、4月19日に始まった申し込み予約で、電話がつながらず、インターネットの予約方法も分からず予約できない高齢者が多くいた。同協議会によると、身近に家族がいない在宅の要介護者の中には、認知機能の低下のため接種の必要性自体を理解できず、予約方法も分からない人も多数いるという。
こうしたことから、同協議会などは両市町に対し、6月14日から始まる第2弾の集団接種以降、要介護者のための予約枠を設定するよう要請、身体状況に配慮した余裕ある時間帯の設定などを行うことなども求めた。要請を受け、両市町は在宅の要介護者の優先予約日を設定することにした。
ネット予約についても、第1弾では、予約の際にメールアドレスの記入が必要だったため、1人で複数の予約を代行支援することができなかった。第2弾以降は、予約の際にメールアドレスの記入を不要にし、1人のケアマネジャーが複数の担当する要介護者の予約を代行できるようにする。
また、接種に必要な予診票の記入についても、ケアマネジャーがサポートできる仕組みを独自につくった。同協議会らがまとめた予診票の記入方法では、家族や主治医、かかりつけの薬剤師らと相談し接種の可否を判断、ワクチン接種や予診票記入に対する本人の理解の有無などを確認するチェックリスなども作成した。
同協議会の担当者らは「認知機能が低下した要介護者や独り暮らしの高齢者が、ちゃんとワクチン接種を受けられる体制づくりが求められている。介護事業所とケアマネジャー、行政が連携して、要介護者を一人も取り残すことがないようにしたい」と話した。