民泊施設に壁画制作

「世界自然遺産の島」の魅力と保全啓発アピールの壁画に協力した徳之島高美術部員たち

自然遺産の魅力、保全を啓発
伊仙町で 徳之島高美術部

 【徳之島】「壁画を通じて世界自然遺産の島の魅力、環境保全啓発のお手伝いを」。地域のアートプロジェクトなどにも積極的に協力している徳之島高校美術部(美阪康太郎顧問、鶴桃佳部長・部員12人)は16日までに、伊仙町義名山公園近くの小さな民泊施設「星の宿(やど)り」=同町伊仙=に〝啓発壁画〟を新たに仕上げた。

 場所は、同町義名山公園をはじめ、亜熱帯雨林の貴重な植生を留める「義名山の森」や「徳之島カムィヤキ陶器窯跡」(国指定史跡)を埋蔵した通称「カムィヤキの森」、「ヨヲキ洞穴」遺跡(縄文・弥生・中世)などに囲まれた複合的な重要エリア。

 大阪府和泉市在住の元会社員、嶺山兼人さん(67)が「ふるさとに恩返しを」と一念発起して、合宿や研修会用にと実家の敷地内に建設。併せて、「壁画を通じて世界自然遺産の島の存在、その自然環境保全の啓発も」と発案。

 天城町商工会の「平土野(市街地)アートプロジェクト」の壁画制作にも協力してきた徳之島高美術部に打診。伊仙町当局も仲介役的な立場で部員たちの送迎を含め協力。今年2月から毎週土・日を利用して計8回(日)制作に取り組んできた。

 顧問の美阪教諭(44)がアドバイスしたコンセプトは「海から山への自然の流れ。人と人のつながりの場にもなって欲しい」。部員らはアイデアスケッチでザトウクジラやウミガメ、アマミノクロウサギ、トクノシマトゲネズミなどをピックアップ。退色しにくいアクリル系の水性塗料で地道に壁に立ち向かい、最終日16日は紫外線カットコーティング塗料で仕上げた。

 鶴部長(3年生)は力を合わせた労作を前に「自慢はクジラと波しぶきの迫力。キラキラと光輝く海中を泳ぐウミガメなど。何回も色を塗り重ねて表現している部分も見て欲しい」。そして「記念写真にも収めて思い出に残してもらい、あの海や自然をもう一度見にいこう、と思うきっかけにもなって欲しい」とニッコリ。

 大阪から駆け付けた嶺山さんは「非常に素晴らしい作品に感謝。『スマホの待ち受け画面に使いたい』など問い合わせも。正式施設名は『もどちたぼれ(方言=元に戻して下さい)』も検討中。島の自然環境を守って元に戻す、環境保全の啓発にも貢献できればと」と話した。