世界自然遺産奄美大島部会

関係者約60人が参加しオンラインで開いた世界自然遺産地域連絡会議「奄美大島部会」

地域対応など概ね合意
7月中旬目途にレポート取りまとめへ

奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島世界自然遺産地域連絡会議の「奄美大島部会」が13日、オンラインであり、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産委員会が示した課題4項目への対応を協議した。地域内の対応や取り組み方針などをまとめたレポート素案の修正案が示され、一部で意見は出たものの概ね合意した。

地域連絡会議は、地域内の適正な管理やあり方を協議し、連絡調整や合意形成を図ることを目的に設置。奄美と沖縄の4地域にそれぞれ部会を設け、地域別の行動計画や課題対応の検討を進めてきた。

世界遺産委員会が示す課題は、▽観光管理▽ロードキル対策▽河川再生▽森林管理―の4項目。12月1日までにレポート提出が求められている。

奄美大島部会ではこれまでに、リュウキュウアユなどの動植物の生息環境の保全・再生につなげるための自然再生型公共事業を掲げる河川再生戦略、緩衝地帯での森林伐採では、国立公園指定や自然公園法での規制を踏まえた持続可能な林業の継続などを明示。今回、ロードキル対策では、アマミノクロウサギなどに合わせて、ケナガネズミの輪禍件数や分析データも新たに加えた。

質疑では、自然保護団体の関係者らから「一般人の影響をどの程度防げるか。法的規制も見据えたナイトツアーのルール作りを」といった声や「外来動植物の駆除徹底を」といった意見が出た。経済団体からは「どういう人が事故を起こしているかデータが必要。普及啓発へ地元企業も関われるよう盛り込んでほしい」といった要望も上がった。

今後は7月中旬を目途にレポートを取りまとめ、地域連絡会議、科学委員へ諮っていく。次回会合は秋ごろ。19日は徳之島部会もオンラインで開催する。