全共の高レベル目の当たりに

全共県最終予選に大島地区から初出品された永吉ファーム(徳之島町)の「わいど」(上)と川上栄地さん(与論町)の「さくらこ」=いずれも提供写真=

大島地区からも初出品 手入れの大事さなど実感

第12回全国和牛能力共進会「鹿児島大会」が来月、霧島市牧園町(種牛の部)と南九州市知覧町(肉牛の部)で開催される。地元開催となる中、県代表牛を決める最終予選が8月末にあった。県内第3位の子牛生産地となっている大島地区も全共予選に初出品(2頭)、残念ながら代表には選ばれなかったが、農家を始めとした関係者は全共の高いレベルを目の当たりにしたことで手入れの大事さなどを実感、優秀な和牛生産へ今後の糧にした。

10月の「鹿児島大会」に向け県最終予選

公益社団法人・全国和牛登録協会鹿児島県支部大島支所によると、これまで大島地区からは県の共進会には参加しており、最優秀賞に一歩届かなかった実績もある。全国の優秀な和牛を集め5年に一度開催される全共は県本土の各地区のレベルの高さ、離島から船を起点に国内の開催地に移動する難しさ(前回は宮城県で大会)などから大島地区からの県予選への参加を見合わせていた。

今回、鹿児島大会として県内で開催されることから「地元での大会に挑戦しよう」と全共への参加を決意。大島地区からは種牛の部の第2区(若雌の1=生後月齢14カ月~17カ月未満)、第3区(若雌の2=生後月齢17カ月~20カ月未満)出場を目指し、地区内の第1次予選会を今年4月に実施。審査により5頭が選抜されたが、1頭が辞退したため、残る4頭が7月の第2次予選会に進み、この中で2頭に絞られた。

大島地区の代表となったのは、徳之島町㈱永吉フォーム(永吉輝彦代表取締役社長)「わいど」=第2区・若雌の1=、与論町の川上栄地さん「さくらこ」=第3区・若雌の2=。2頭は、8月28~29日の2日間、霧島市の姶良中央家畜市場で開かれた全共県最終予選に出品された。最終予選会の黒毛和牛種牛審査では体積や種牛性(均称(体躯構成健全性)、品位、資質など)の項目ごとに評価され、これにより全共に出場する種牛17頭が決定した。

大島支所は「体積、種牛性の面で、トータルで見ると差があり、全共の県代表に選ばれた牛は全項目で優れていた」と振り返るとともに、大島地区からの初出品の意義については「これまで経験できなかった全共の高いレベルを目の当たりにしたことで、大きな収穫を得た。『とても勉強になった』という声が挙がっただけに、出場した農家のほか、役場やJAの技術員はさまざまな学びの場となったのではないか。今後の和牛づくりに生かしてほしい」と指摘した。

なお全共出場では、肉牛の部は7頭が決定したが、このうちの1頭は産地が徳之島町(武元光代さん)で、南さつま市加世田の㈲江籠畜産が肥育し出品した「亀吉」。大島地区からは過去最高の6頭(うち5頭は徳之島産)をあっ旋会に出品、県内の優秀な肥育農家で肥育された。