会見後、手を指しだし称え合う吉田陸幕長(左から4人目)やフリン司令官(同5人目)ら
日本に来日中の米太平洋陸軍のチャールズ・A・フリン司令官は8日、吉田圭秀陸幕長ら幹部とともに奄美市名瀬大熊の奄美駐屯地を部隊訪問した。日米両部隊の共同訓練の成果確認などが目的で、会見でフリン司令官は「(訓練で)相互運用性は高まった」と述べ、抑止力・対処力のさらなる深化を強調した。
フリン司令官の奄美の訪問は初めて。中国の海洋進出を念頭に、態勢強化が進む南西防衛の確認や日米の連携をアピールする狙いがあるとみられる。
フリン司令官は奄美空港に到着後、陸自のヘリコプターCH―47で奄美大島を上空視察し、午後1時20分ごろに奄美駐屯地入りした。西部方面隊総監や奄美駐屯地司令らからオリエント・シールド22の報告を受けた後、施設を巡視。12式地対艦誘導弾や中距離地対空誘導弾などを視察した。
会見でフリン司令官は「相互運用は高度な訓練のみで高められる。複雑でタフなデモンストレーションが実施できた」と振り返り、現状変更の試みを強める中国に対しては「相互運用は繰り返すことで抑止につながる。(訓練こそ)団結と集団的決意を示すものだ」と訴えた。
吉田陸幕長は奄美における訓練について「南西地域の主要な島しょの一つで地政学的に極めて重要な地域。抑止力や対処力を示す大きな意義がある」と強調。日米初の電子戦部隊の共同訓練については「戦術、司令作戦レベルで対艦能力を著しく向上できるなど、画期的な深化を遂げることができた」と総括した。
オリエント・シールド22には、陸自約1400人と米陸軍約700人の計2100人が参加し、8月14日~9月9日(実動訓練8月28日~9月3日)の期間で行われた。奄美駐屯地では、陸自12式地対艦誘導弾と米陸軍高機動ロケット砲システム、日米の「電子戦部隊」による初の共同訓練も展開した。