県内観光消費額45%の大幅減

旅行会社8社から事業廃止届け出
コロナ影響

 2019年度以降の県内観光関連業界の総体的な観光消費額は、コロナ禍前の2019年度と、コロナ禍の20年度を比較した場合45%の大幅減となったことが分かった。こうした状況を受け、観光関連業界での廃業・倒産は、20年度以降10件超の宿泊事業者が廃業と影響を受けている。一方で行動制限の緩和や県、国の旅行需要喚起策により宿泊客数や消費額の回復が期待されている。

 県の観光統計によると、県内観光消費額は19年度の約2856億円に対し、20年度は約1565億円となり、新型コロナウイルス感染症により1291億円も減少した。

 観光関連産業の現状について悦田克己観光・文化スポーツ部長は議会答弁で「まん延防止等重点措置の適用を解除された今年3月以降は需要喚起策の効果もあって県の観光動向調査によると、県内主要宿泊施設の宿泊客数は回復傾向にある」と説明。国も全国旅行支援、外国人観光客の受け入れに関わる水際対策の緩和により観光需要、消費額は回復の動きを見せている。

 県では、▽引き続き効果的な需要策を切れ目なく実施▽マーケティングによるデータに基づく効果的な誘客▽観光地づくりのための組織づくりや人材育成、新たな滞在型観光コンテンツの充実―などに取り組んでいる。

 現在は回復傾向にあるものの、観光関連業界ではコロナを起因とする廃業・倒産も出ている。民間信用調査機関によると、県内観光関連産業における新型コロナ関連倒産は宿泊事業者1件、レンタカー業者同、農村民泊受入業者同の計3件。また、旅行会社8社から新型コロナの影響により旅行業法に基づく事業廃止の届け出が県にされており、「20年度以降、少なくとも14件の宿泊事業者が廃業したことを確認している」という。

 県は資金繰りに苦慮する観光関連業者への支援も進めている。商工労働水産部によると、金融機関や県信用保証協会に対し返済猶予、貸付条件変更など柔軟な対応を要請。新型コロナ関連緊急経営対策資金の条件変更については書類不備を除き、ほぼ全て承諾されているという。さらに保証協会は金融機関と連携し当該資金の借入先で売上減少が大きく、経営指導が必要な事業者を選定。個別に訪問し条件変更の助言、専門家派遣などの支援を行っており、今年度訪問先は観光関連産業を含む小売サービス業が半数を占めている。

 融資による支援としては今年4月に保証協会が観光関連事業者を対象とする保証制度を創設。県も6月、原油原材料高騰の影響を受けた事業者を対象とした特別資金を創設している。