県議会一般質問

制度拡充で「沖縄追加」検討
奄美群島 住民割引、輸コスト支援の対象地
19数値目標 農業担い手確保など達成4件

12月定例県議会は7日、引き続き一般質問があり、伊藤浩樹議員=自民党、出水市区=、前野義春議員=県民連合、鹿屋市・垂水市区=、小幡興太郎議員=自民党、出水市区=、禧久伸一郎議員=自民党、大島郡区=が登壇。禧久議員が取り上げた奄美群島振興開発特別措置法(奄振法)の改定・延長に向け県が進めている総合調査について塩田康一知事は答弁で、奄美・沖縄両地域の交流を一層促進する観点から奄美群島の住民割引、輸送コスト支援の対象地に「沖縄追加」の検討を明らかにした。

航空路運賃の住民割引や輸送コスト支援は現在、奄美群島と鹿児島本土との間に適用されている。対象地に沖縄を追加する検討は制度拡充となる。

交流人口の拡大や条件不利性改善へ知事は、奄振交付金を活用し地理的、歴史的、文化的につながりが深い沖縄と共同で大都市圏向けの周遊旅行商品開発およびイベントへの出展実施、観光客も対象に含めて早期購入割引航空運賃の軽減も行っていると説明。知事は「世界自然遺産登録を契機として一体的に登録された沖縄との一層の連携を図るとともに、同じ世界自然遺産に登録された屋久島との連携も図りながら県内全域に効果を波及させ、国内外にエリア全体の魅力を発信することによって観光立国に貢献する主導的な役割をこの地域が担うことで、さらなる交流人口の拡大等が図られるものと考えている。そのため報告書(総合調査の)素案において県本土、屋久島、沖縄との連携によるプロモーション等の実施を検討するとしている」と述べた。

総合調査で明らかになった奄振事業の成果・課題については西正智・地域政策総括監が答弁。それによると2016年度から奄振交付金を活用した運賃軽減や輸送コスト支援などのソフト事業を実施(20年度までの実績は事業費ベースで2兆6500億円余り)。それにより条件不利性の改善が図られているものの、今回の総合調査により▽本土との間に所得水準や物価高など経済面の格差がいまだに存在▽人口減少や高齢化の進展に伴いあらゆる分野で人材が不足▽「稼ぐ力」が小さく、所得が域外に流出している―などの課題が明らかになった。

数値目標の達成状況に関する報告もあった。現行の奄振計画に掲げた19の数値目標は23年度末を目標としているが、現時点では農業の担い手確保数や林業生産額など目標を達成したものが4件あり、エコツアーガイドの認定数や汚水処理人口普及率など達成度80%以上のものが9件となっているとした。

奄美群島における企業立地や設備投資を促進するため、国税の割増償却制度や地方税の課税免除等に伴う地方交付税の減収補てん措置については産業振興・雇用の創出を図る上で有効な手段であることから、これまで県開発促進協議会などを通じ国に延長を要望している。報告書素案では両制度の延長に加えて今後、増加が見込まれる観光客の受け入れ態勢の整備促進に向け現在は新設または増設のみとなっている旅館施設などにかかわる地方交付税の減収補てん措置の対象に「新たに改修を追加する必要がある」としていることが説明された。