名瀬港の観光振興など議論

パネルディスカッションで名瀬港を核に参加者らが意見を交わした

奄美市でシンポ「愛着度を高めて」
ポートタウンあまみ

 NPO法人ポートタウンあまみ(有村忠洋理事長)は11日、奄美市名瀬の市民交流センターで「未来の器づくり~海洋奄美の創造」と題するシンポジウムを開いた。約20人は講演やセッション、パネルディスカッションを通して、名瀬港を核とした観光振興や地域活性化策などを議論した。

 名瀬港を核とした港とのふれあい、地域の交流促進が目的。有村理事長はあいさつでクルーズ船業界の現状を報告し「世界はすでにコロナ禍前の状態に戻っているが、日本が戻っておらず、このままでは市場も離れかねない」と訴えた。

 シンポジウムでは、志學館大学の原口泉さんが「亜熱帯海洋性気候の海洋文化都市と観光ビジョン」と題し講演した。原口さんはターミナルビルの設計などに対し「これからは大型クルーズ船の時代になる。市民は議論できているのか。(行政ではなく)民間が一番大事な所を活用できる港にしなければ活性化はない」と提言。地域を巡るクルーズツアーに関しては「満足度ではない。愛着度をいかに高めるかで、思い出に残るような名瀬港を醸成してほしい」と呼び掛けた。

 続くセッションでは、奄美博物館の久伸博館長が古地図や写真を元に〝なぜまち〟の変遷を振り返った。奄美群島振興開発基金の本田勝規理事長は高校生を対象にした帰島意向のアンケートを紹介。2007年以降、「暮らしたい」と回答する生徒らが「減少傾向にある」と説明し、「ITなど、学べば学ぶほど島には生かす場がないのではないか」と要因を求めた。

 パネルディスカッションでは、島の人材育成に向けた、大学や研究所といった教育機関をめぐる整備などが議題に挙がり、参加者らが意見を出し合った。