市内の中原商店では大勢の客が訪れ「ナリムチ」を買い求めていた
家内安全、商売繁盛願う
小正月(1月15日)前日の14日は、五穀豊穣や無病息災を祈る「ナリムチ(餅花)」―。奄美市内の商店では、ブブ木の枝に餅の花を咲かせたナリムチが華やかに並び、家内安全や商売繁盛を願う購入客が次々と訪れていた。
ナリムチは薩摩藩から伝わった風習とされ、北大島や徳之島で受け継がれるならわしの一つ。4色(白、赤、黄、緑)に色付けした餅を花に見立ててブブ木(リュウキュウエノキ)に細工し、墓前や神棚に供えて家族の健康や長寿、繁栄などを願う。
ブブ木は切れば切れるほど枝を伸ばすことから「繁栄」の象徴とされる。鈴なりの餅には「お金がたくさん成るように」といった願いが込められている。
同市名瀬井根町の中原商店(中原一成代表)では、墓用台座付きや神棚用飾木といった4種類のナリムチが店舗いっぱいに並んだ。今月5日ごろから商店の6人が製作。13日は、朝から新春風物詩の幸にあやかろうと事業者や個人が続々と店を訪れるなど、販売のピークを迎えていた。
名瀬在住の67歳男性は4年前に母親が亡くなり、墓や仏壇に供えるようになった。昨年はコロナの厳しさから店を廃業しアルバイトに。「ウサギの年だが、今年はカメで行く。一歩一歩着実に日々を踏みしめていきたい」と変わらぬ日常を願っていた。